排卵誘発剤:排卵誘発の目的で使用します

・自然排卵に近い方法
 セキソミドやクロミッドは、脳に直接働きかけて自分の力で卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌するよう働きます。
 内分泌的な原因など原因があまりないと思われる初期治療の第一選択薬です。
 効果が出ないときはhMG製剤(HMG・ヒューメゴン・パーゴグリーン)やFSH製剤のように直接排卵を刺激する注射薬が使われます。

・人工授精・体外受精
 複数の卵胞をふやし妊娠力をアップする目的(卵巣刺激)で使用する。
 hMG製剤がよくつかわれる。
 多のう胞性卵巣(PCO)の人はもともとLHが高いのでFSH製剤を使用する。

内服薬 シクロフェニル製剤:セキソビット

★適応・用法・用量
第一度無月経、無排卵性月経、稀発月経の排卵誘発 軽度の排卵障害のある人
1日400~600mgを2~3回に分けて服用
月経周期の3~5日目から飲み始めます
5~10日間症状に応じて反復服用
6周期程度を投与の目安

★作用機序
間脳視床下部や脳下垂体前葉に作用し、LH,FSH(卵胞刺激ホルモン)の産生と放出を促進
排卵機能は弱いが、頸管粘液の分泌抑制が少ないのがメリット

★副作用
食欲不振 便秘 下痢 発疹

*お薬を飲み始める前1か月間・治療期間中は基礎体温をきちんと記録しましょう。
基礎体温が高温相に移行したら服用を中止して医師に受診しましょう。
多胎妊娠(1.5~2.0%)の割合で多胎妊娠の可能性があります。

内服薬 クロミフェンクエン酸塩:クロミッド・セロフェン・スパクロミン

★適応・用法・用量
排卵障害に基づく不妊症の排卵誘発 
無排卵症や無月経、稀発月経など排卵しづらい場合の治療、人工授精や体外受精などの排卵刺激にも使用される
1クール1日50mgを5日間より開始
第1クールで無効の場合は1日100mg5日間に増量
6周期程度を投与の目安
★作用機序
ごく弱いエストロゲン作用あり
間脳に作用して卵巣から出ている卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用を抑えることでゴナドトロピンの分泌を促進。下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン),LH(黄体形成ホルモン)が分泌され卵巣を刺激して排卵を誘発する

★副作用
目がかすんだり、二重に見えることがある
頭痛、のぼせ、お腹のはり、発疹

*目がかすむことがあるので、服用中は車の運転は控えましょう
多胎妊娠する率が5%前後あるといわれています。その90%は双子です。

脳下垂体ホルモン療法:脳下垂体から分泌されるホルモンによって卵巣の働きを活発にし、卵胞を成熟させて排卵を促します。

注射薬 hMG製剤:性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン=HCG)
(HMG:ヒュメゴン・バーゴグリーン)
★適応・用法・用量
間脳性(視床下部性・下垂体性)無月経の排卵誘発
人工授精、体外受精、顕微授精の妊娠力を上げる
1日75~150IUを連続皮下・筋注

★作用機序
卵胞の発育と黄体形成の促進
hCGとの併用で排卵誘発
下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)はFSH(卵胞刺激ホルモン)の活性を有し、卵巣に作用して原子卵胞から発育卵胞を形成する
LH(黄体形成ホルモン)との協力により卵胞を成熟させ卵胞ホルモンを分泌させて排卵を誘発する

★副作用
hCG剤との併用にて血栓症、脳梗塞などを伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群5%以上
多胎発生率5~20%
呼吸困難 ほてり 浮腫 卵巣肥大

注射薬 HCG(胎盤性性腺刺激ホルモン):プレグニール HCGモチダ ゴナトロピン

★適応・用法・用量
無排卵症(無月経 無排卵周期症 不妊症)
1日3000~5000単位を筋注
男性不妊症や妊娠初期における切迫流産や習慣性流産の治療にも使用される
クロミッドやhMG剤で卵胞を成熟させたのちに投与して排卵をおこす

★作用機序
黄体形成、黄体維持作用
卵胞成熟作用 間質細胞刺激作用(男子)

★副作用
下垂体性腺刺激ホルモンとの併用にて血栓症、脳梗塞などを伴う重篤な卵巣過剰刺激症候群5%以上