ラクトバチルス菌が子宮内にたくさん存在することで、悪玉菌から守ってくれて、子宮内膜症や子宮体癌などの病気を予防できること。
また、妊娠率に影響していることがわかってきました。
兵庫県神戸市にある英ウイメンズクリニックさんのホームページから
今回ご紹介する論文では次世代シーケンサーを用いて子宮内細菌叢を解析することで、妊娠するために重要な菌と、その状態について報告した初めての論文になります。結論としては、『子宮内菌叢の占有率においてLactobacillusが優位(90%以上)状態であること』が妊娠において重要であることが報告されています。
【論文紹介】
Moreno I et al., Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure. m J Obstet Gynecol. 2016; 215: 684-703
一部省略
②妊娠するためには子宮内細菌叢がラクトバチルス優位な状態が好ましい
対象は体外受精による治療を受けており、ERA(子宮内膜受容能検査)により子宮の状態が受容期と判定された32名の女性を対象としています。子宮内細菌叢をLactobacillusが90%以上占めている対象を優位群(LD;lactobacillus domain)、90%未満を非優位群(NLD;non-LD)として、胚移植後の妊娠成績について比較検討しています。
LD群 NLD群 P値
(n=17) (n=15)
臨床妊娠率 70.6% 33.3% 0.03
妊娠継続率 58.8% 13.3% 0.02
生児獲得率 58.8% 6.7% 0.002
全ての患者が、ERAの結果から胚の受容期にあるにも関わらず、Lactobacillusが非優位な状態(NLD群)では、胚移植後の妊娠成績が有意に低くなることが示されました。つまり、子宮内菌叢を知ることは、これまで不明であった不妊原因を解明する手段の一つになり得るという事です。
次回はラクトバチルス菌を増やすお話をいたしましょうね。
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